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国際洞窟救助訓練報告

Report of Stage Secours International 1997 - Speleo Secours Francais


日本洞窟学会洞窟救助委員会 後藤 聡


はじめに

 1997年8月10-17日にスイスのラ・ショー・ド・フォンで第12回国際洞窟学会議 (国際洞窟学連合主催)が開かれた。この会議に接続する形で8月19−29日に国際洞窟救助訓練 (Stage Secours International;以下Stage SI)がフランスの洞窟救助組織 Speleo Secours Francais(SSF)と国際洞窟学連合洞窟救助委員会とによって開催された。
 開催場所はジュネーブの南50Kmほどに位置するサヴォワ県(Savoie)のエクスレバン (Aix-les-Bains)と冬季オリンピックの行われたアルベールヴィル (Albertville)の間に広がるMassif des Bauges自然公園である。
 参加者はスペイン10名、フランス8名、ベルギー、ルーマニア、スロベニア、 レバノンが各3名、日本、プエルトリコが各2名、オーストラリア、ブラジル、 アイルランド、スイスが各1名と、12ヶ国38名である。 主に各国で洞窟内の事故現場で関わる人であったが、 国際洞窟学連合洞窟救助委員長であるベルギーのAndre SLAGMOLEN氏や副委員長でオーストラリア、 インドネシアでの洞窟救助組織の運営を行うオーストラリアの Grace MATTS女史といった人も含まれていた。 彼らやSSFの委員長のDodelin Christian氏らからは、日本で洞窟救助組織を立ち挙げるならば、 協力するとの言葉を頂いているので、いずれ協力を求めたいと考えている。
 SSFはフランスのケイビング・洞窟学の全国組織である Federation Francaise de Speleologie (FFS:フランス洞窟学連合)の一部門として 1977年に設立された組織でボランティアケイバーによって運営されている。 現在ではフランス内務省と協定を結び、フランス国内での洞窟事故に関して協力関係を作っている。 FFSにより任命された委員長と12人の技術顧問の他に、 60の地方支部の180人の技術顧問らにより運営されている。 実際の救助活動はSSFによって定期的にリストアップされるケイバーらにより行われる。 このリストには約2000人の上級ケイバーや爆破専門家、ケイブダイバー、 医師などが約100人ずつ含まれている。これらの救助要員を養成するため、 SSFは救助技術、管理、爆破、潜水など様々な救助訓練を定期的に実施している。
 報告者が参加したStage SIも、この救助訓練の一つで、 特に海外のケイバー向けに開催されるものである。訓練内容は、 担架を使った竪穴や横穴での搬出や、実際の洞窟救助を想定した訓練への参加、 救助隊の運営などの概要、火薬や楔などによる岩の破壊方法、 特殊な状況での救助技術など多岐にわたる。参加費は宿代、 食費込みで700スイスフラン(約5万6千円)であった。
講習は、SSFが所有する宿泊施設とそのすぐ側にある山小屋(日本ではペンションに相当)で行われ、  10日間の講義のうち、初日と最終日はミーティングのみで、残りの8日間は昼間は野外や洞窟での活動で、 夜は机上講習というパターンであった。 また夜間の講習後には参加者が持ちよった、各国の洞窟救助に関する報告もスライドなどを交えながら行なわれた。

 なおUISの会期中に行われたRescue Dayで行われたデモンストレーションについても同時に報告する。

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