日本洞窟学会第51回大会(秋吉台大会)

はじめに

 日本洞窟学会は2025年10月に創立50周年を迎えます。これを記念し、日本洞窟学会秋吉台大会を開催いたします。

 日本洞窟学会は1975年10月に洞窟生物や地学の研究グループが母体となり設立されました。さらに、ケイビング組織等との合併を果たし、洞窟に関する学術研究と洞窟探検に関わる諸分野を統括する日本唯一の組織として発展を遂げてきました。1999年には日本学術会議へ登録され、学術団体として公にも認められました。また、国際的な組織「国際洞窟学連盟 UIS」のメンバーであり、国際交流にも貢献しております。

 この節目の年に、日本洞窟学会の本部として創立以来様々な学会事務のサポートをしていただいてきました秋吉台科学博物館を主会場として、秋吉台で大会開催できることはたいへん意義深いものです。今大会では、学術講演会や講習会、洞窟巡検だけでなく、創立50周年記念式典および公開講演を予定しております。

 学際領域であることも関係して,日本において洞窟学を専門に研究することのできる機関や施設は極めて稀です。 したがって,洞窟学の専門家の数は少ないのが現状です。 しかし,裏をかえすと,アマチュアと専門家との距離がもっとも近い学会の一つといっても過言ではありません。秋吉台で開催される大会は2009年の第35回大会以来16年ぶりとなりますが、情報交換および技術交流を通じてこの大会を盛り上げていきましょう。秋吉台で皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

大会概要

大会名日本洞窟学会第51回大会(創立50周年記念秋吉台大会)
大会長石原 与四郎(福岡大学・日本洞窟学会会長)
大会実行委員長吉村 和久(九州大学名誉教授)
大会実行委員飯田 暁、石田 麻里、太田 泰弘、後藤 聡、千葉 伸幸、中込 幸子、新部 一太郎、
藤井 雄基、藤川 将之、山田 努、横田 角光
日時2025年10月11日(土)~13日(月・祝)
主会場美祢市立秋吉台科学博物館
主催日本洞窟学会
共催美祢市教育委員会秋吉台科学博物館、山口ケイビングクラブ
後援美祢市

日 程

2025年10月10日(金)17:00~19:00 評議員会
2025年10月11日(土)9:00~12:00 講習会
12:00~受付
13:00~17:10 開会式・一般講演1
17:30~18:00 臨時総会
18:00~19:00 部会・委員会協議
2025年10月12日(日)9:00~10:00 受付
10:00~12:30 記念式典・公開講演
12:30~13:30 休憩・昼食・ポスターコアタイム
13:30~17:30 一般講演2
17:30~18:30 山口ケイビングクラブ総会
19:00~21:00 懇親会  
2025年10月13日(月・祝)9:00~9:30 閉会式
9:30~17:00 講習会・巡検

記念式典公開講演

記念式典 学会50周年のあゆみ紹介、来賓紹介とあいさつ、感謝状贈呈を予定しています。

公開講演「特別天然記念物秋芳洞の再生に向けて―照明植生の現状とその対策」
 一般公開のために鍾乳洞に照明が用いられると、照明の当たる鍾乳洞の石灰岩壁や鍾乳石の表面に植物が着生し、洞窟の美観や環境に大きな影響を与えます。このような照明植生による外観変化は、国内外の観光洞で普遍的に起きています。特に照明をLEDに転換してから顕著になりました。特別天然記念物である秋芳洞においても例外ではありません。
 観光洞を照明植生が顕著になる前の状態まで戻すためには、多くの領域の専門家の知識・知恵が必須であり、文化庁支援の下美祢市に作られた委員会では、洞窟学会会員がおもな構成メンバーとなりました。延べ6年間にわたって調査、対策試行がなされており、ここで得られた知識は、同様に照明植生に悩まされている国内外の観光洞にとっても、対策法を策定するうえで重要な指針となり得ます。この公開講演会では、秋芳洞において調査、対策試行に携わったメンバーの中から5名により解説を行います。


10月12日(日)
11:00-11:15 照明植生対策のための戦略:吉村和久(九州大学名誉教授)
11:15-11:30 洞窟環境の概要と照明植生対策:石原与四郎(福岡大学理学部)
11:30-11:45 秋芳洞内の光合成生物の分布と緑化除去試行:堀 学(山口大学理学部)

11:45-12:00 対策試行の効果の追跡-写真画像による植生分布の解析3:後藤 聡(東京スぺレオクラブ)
12:00-12:15 秋芳洞内の照明植生除去試行と対策方針:篠田健二(美祢市教育委員会)

12:15-12:30 総合討論

オンライン参加 (※聴講のみ)

 聴講のみの設備準備をおこないます。質疑は受け付けません。オンラインでの参加(視聴)は記念式典、公開講演、口頭発表のみが対象です。

講習会および巡検について

10/11(土)
9:00~12:00
A 洞窟考古学講習
ケイビング活動時に役に立つ洞窟遺跡についての予備知識の習得を目指します。(※13日の内容とは異なりますがこの日のみの受講も可)
E 洞窟測量講習
初心者から、測量に興味のある方向けです。
F SRT基礎講習
初心者向けです。(※13日との連続受講必須)
10/13(月・祝)
9:30~17:00 (※Bのみ9:30~12:00実施)
A 洞窟考古学講習
ケイビング活動時に役に立つ洞窟遺跡についての予備知識の習得を目指します(※11日の内容とは異なりますがこの日のみの受講も可)
B 地下生物学講習
※9:30~12:00実施 洞窟における生物調査の基本を学びます。
C 洞窟地質地形講習
溶食地形や洞窟堆積物について、景清洞を例に解説します。
D 洞窟地下水講習
滴下水や湧水などの地下水の調査(とくに化学的)に興味のある初心者向けの講習です。
F SRT基礎講習
初心者向けです。(※11日との連続受講必須)
G リーダー養成講習
合宿や活動のリーダー候補者を対象とした講習です。
H 巡検1(初級コース)
中尾洞(予定)、定員10名、横穴探検装備が必要です 。
I 巡検2(中級コース)
大正洞下層(予定)、定員10名、横穴探検装備が必要です。
J 巡検3(上級コース)
寺山の穴(予定)、定員10名、ハーネス一式など竪穴探検装備が必要です。
スタッフA 洞窟考古学講習講師:山田侑生、小野寺秀和、山田努
B 地下生物学講習講師:新部一太郎ほか
C 洞窟地質地形講習講師:石原与四郎
D 洞窟地下水講習講師:吉村和久、横田角光
E 洞窟測量講習講師:石川典彦、千葉伸幸
F SRT基礎講習講師:藤井雄基ほか
G リーダー養成講習:森住貢一ほか
H・I・J 巡検講師:山口ケイビングクラブ会員

詳細は以下【別紙1:講習会・巡検】をご参照ください。

参加費(参加者一人あたり)

大会 ・式典学会員または山ケイ会員(一般)5,000円
学会員または山ケイ会員(学生・個人)1,500円
学会員(学生・団体)2,500円
賛助会員6,000円
非学会員(一般)8,000円
非学会員(学生・個人)4,500円
オンライン(聴講のみ)1,000円
美祢市民無料
講習会 ・巡検参加者(保険料、講習資料代を含む実費)2,000円
懇親会一般6,000円
学生3,500円

※巡検のみ、講習会のみ、懇親会のみ、といった参加はできません。いずれかの活動に参加を希望される方は、大会参加申し込みとあわせてお申し込みください。

※本大会は原則として学会員相互の交流と研鑽を主目的としております。非学会員で参加を希望の方には、これを機に学会への入会を強くお勧めします(個人会員の年会費は5,000円です)。入会には申し込みから許可まで10日程度かかりますが、入会申込書の提出があれば即日学会員価格で参加申し込みができるものとします。

学会員(一般)とは個人会員・家族会員・名誉会員を指します。

※山口ケイビングクラブ(山ケイ)は本大会の共催団体であるため、山ケイ会員の方には学会員価格が適用されます。

※美祢市民以外の方で当日に大会参加登録される場合は+2,000円申し受けます(講習会・巡検は当日の参加申し込みはできません)。可能な限り事前登録をお願いします。

※日中の行事参加が出来ない方に限り、懇親会のみの参加も可能です。大会実行委員会事務局(conf51@speleology.com)へお知らせください。

※大会実行委員会事務局より参加費等の総額をお知らせしますので、そちらを確認のうえ支払いをお願いします。(例年払込金額の間違いが発生していますのでご注意ください)

※参加費の支払いは8月1日からオンラインシステムで行う予定です。システムの使用ができない方には別途振込先(振込者が手数料負担)をお知らせします。

懇親会

 10月12日(日)19:00~21:00に開催予定です。会場は秋吉台国際芸術村レストラン「サンセリテ」です。懇親会費は一般6,000円、学生3,500円を予定しています。その他詳細は決まり次第お知らせします。会場へのお酒の持ち込み歓迎です。

※送迎バスなどはございません。各自交通手段を確保されご来場ください。

申し込み方法

 8月1日よりエントリーが可能です。下記の申し込みフォームから必要事項を送信してください。「大会参加・講演・懇親会」と「講習会・巡検」の二つの申し込みフォームがあります。「講習会・巡検」のみの申込はできません。

 送信いただいたのち大会事務局で内容を確認し、数日以内に支払い情報等を記載した受付完了メールをお送りします。

 

※大会参加申し込みフォームは10月9日木曜日正午に閉鎖します。それまでに入金手続きが間に合わなかった方は会場での現金払いをお願いします。

参加費支払い方法

 申し込み後にお送りするメールに金額と支払い方法を記載していますのでご確認の上でお支払いください。団体会員の学生については支払い前に大会実行委員会事務局(conf51@speleology.jp)にご連絡ください。

学術講演

10月11日

Session 1 (座長: 羽田麻美・山田努)

13:10-13:30 O-1: 北海道伊達市大滝区百畳敷洞窟における氷筍の成長・融解過程,大滝の気温データを用いた氷筍の成長予測および洞窟内の湧水の化学成分
亀田貴雄・佐藤夏巳・牛塚貴博(北見工業大学),酒井史明(PACIFICA),橋本強志(無所属),駒井克昭(北見工業大学)

13:30-13:50 O-2: スカラップ形態の数値化と古流速の見積もり
石原与四郎(福岡大学理学部)

13:50-14:10 O-3: 沖縄県・玉泉洞の洞窟微気象と石筍成長速度
石原与四郎・松地遼太郎(福岡大学理学部)・大岡素平(おきなわワールド)

14:10-14:30 O-4: 埋没化石骨フッ素濃度と化石骨周辺の地下水流動7
吉村和久(九大RIセンター)・渡辺修((同)水文企画)

14:30-14:50 O-5: 与論島における溶食凹地の形状と断層との関係
桑原香澄(全農 長崎県本部)・羽田麻美(琉球大)

14:50-15:10 休憩


Session 2 (座長: 多武想太・横田角光)

15:10-15:30 O-6: 大流速湧水におけるロボット探査について
眞部広紀・長嶋豊(佐世保高専)・堀井樹・バルデスラジャン((株)AeroFlex)・高嶋洋(第一工科大)

15:30-15:50 O-7: 穴の原溶岩洞穴における3D測量と洞口周辺の物理探査
眞部広紀(佐世保高専)・藤井雄基(岡山大大学院)・堀井樹((株)AeroFlex)・城森明((有)ネオサイエンス)

15:50-16:10 O-8: 洞窟探査ロボット開発における要素技術とその一般化について
堀井樹((株)AeroFlex)・眞部広紀(佐世保高専)

16:10-16:30 O-9: ウズベキスタン極西ギッサール洞窟探検偵察行報告
小林知風(法政大学探検部、東京スぺレオクラブ)・富澤りの(法政大学探検部、東京スぺレオクラブ)・嘉川寛大(法政大学探検部)

16:30-16:50 O-10: インドネシアハルマヘラ島における新洞報告
久保結花・縣智丈・岡晃子・荒木浩介・菅原真美(J.E.T(Japan Exploration Team)・山本健太朗(無所属)

16:50-17:10 O-11: 日本の竪穴技術の歴史~今、ラダーは生きているのか
水島明夫(洞穴科学調査会)・多武想太(東京スペレオクラブ)

10月12日

Poster Session(12:30-13:30)

P-1: 鷹丸尾溶岩流柏原樹型群にみる溶岩再溶融温度の推定
本多力(NPO法人火山洞窟学会)

P-2: 米国カスケード山系セントへレンズ火山,ニューベリー火山の溶岩チューブ洞窟形状による溶岩流の温度,粘性係数の推定
本多力(NPO法人火山洞窟学会)

P-3: 岩手県久慈市で発見した氷結誘導型洞穴成炭酸塩鉱物
山田努(東北大・院・理)


Session 3 (座長: 新部一太郎)

13:30-13:50 O-12: LGM以降のユビナガコウモリの分布変遷を辿る
秋山礼・兼祐翔・後藤晋・福井大(東京大学大学院農学生命科学研究科)

13:50-14:10 O-13: 複合的手法による北海道の海蝕洞の記載と測量
伊藤雄氣(北大探検部・東京スペレオクラブ・北大・院・理)・赤嶺直弥・工藤隆太郎・阿部泰地・小倉彬嵩・青木銀・木嶋理乃・神藏未和・橋本育和・石黒竣太・菅真太郎(北大探検部)

14:10-14:30 O-14: 洞窟活動における横紋筋融解症
長谷川幸祐(荏原ホームケアクリニック,NPO法人火山洞窟学会)・長谷川春日(NPO法人火山洞窟学会

14:30-14:50 O-15: OnStationのWindows10/11対応と導入支援
藤井雄基(うきぐもケイビングクラブ)

14:50-15:10 O-16: 洞窟地震学(Speleoseismology)の現状と日本における適用可能性8
山田努(東北大・院・理)

15:10-15:30 休憩

Session 4 (座長: 石原与四郎)

15:30-15:50 O-17: 自然に関する知の共有と保存のための中核施設:博物館および博物展示施設について
太田泰弘(北九州市立自然史・歴史博物館)

15:50-16:10 O-18: 玉泉洞におけるケイビングツアー −39年間の変遷−
大岡素平(株式会社南都)

16:10-16:30 O-19: 秋吉台におけるケイビング活動の法的手続き −現状と課題−
藤川将之(秋吉台科学博物館)

16:30-16:50 O-20: 山口大学洞穴研究会 65年の軌跡と今後の展望
横田角光(山口ケイビングクラブ,帰水会)

宿泊・交通について

 主会場の秋吉台科学博物館は秋吉台バス停・秋吉台南山展望台・カルスター(Mine秋吉台ジオパークセンター)から徒歩3分です。秋芳洞バスターミナル(秋吉台観光交流センター横)からは徒歩で30分以上かかりますので、バスまたはタクシーの利用がおすすめです。JR新山口駅から車で30分程度、約25㎞の距離にあります。自家用車で高速道路をご利用の場合、小郡萩道路の秋吉ICから15分程度です。車でお越しの場合は近隣の公営駐車場(無料)がございますが、連休中のため一般観光客の迷惑にならないよう乗り合わせの上お越しください。

 現地の交通手段について、巡検・講習では車でお越しでない方も相乗りできるよう調整の予定です。

 美祢市内は宿泊施設が複数ございます。旅行業法の関係もあり実行委員会で借り切る、予約を手配するなどは行いませんので、それぞれの団体もしくは個人でご予約をお願いします。秋吉台家族旅行村にはケビン(キッチン・バス・トイレ付)・ログハウス(キッチン無し)・オートキャンプ場・区画一般キャンプ場(テント)があります。

※美祢市内の宿泊施設については以下【別紙2】をご参照ください。

お問合せ先:conf51@speleology.jp