会長挨拶/2024-2025 石原 与四郎

 今期(令和6年度)、日本洞窟学会会長を務めさせていただくことになりました、石原与四郎です。会長就任の御挨拶を申し上げたいと思います。
 私は、学生時代から秋吉台を中心とした洞窟の調査や探検に親しんできました。洞窟に関する研究も進めており、最近は特にその内部の堆積物の形成過程の解明やそこから過去の環境を復元する試みなどを、主として地質学的・堆積学的な方法を通じて行っています。本会においては、前期、前々期に事務局を引き受けさせていただいていました。今期は、後藤聡氏、藤川将之氏を副会長にご就任いただき、事務局として山田前会長、中込前副会長に引き続き会の運営のご協力をお願いいたしました。評議員を務めて頂く皆様と協力し、日本洞窟学会のより一層の発展に取り組みたいと考えています。
 日本洞窟学会は来年(令和7年、2025年)に50周年を迎えます。設立当時(1975年)は、学術系の分野が母体となっていましたが、1996年には日本洞窟協会、日本ケイビング協会、日本火山洞窟学会などの組織と合併し、新しい日本洞窟学会となりました。現在では、ケイビング・探検技術の分野の会員が最も多くなっています。50周年という大きな区切りを迎えるため、山田前会長の際に50周年記念行事に関するワーキンググループが作られ、イベントの企画が検討されています。学会の各委員会では、それらに向けた準備も始まりました。
 本会は、国際洞窟学連合(Union of International Speleology)の加盟団体であるとともに、日本学術会議の協力学術研究団体でもあります。任意団体ではありますが、上述のように50年間の長い歴史を持っています。一方、昨今、多くの学術団体において、会員の減少やアクティビティの低下が挙げられます。特にフィールドを対象とした学問分野ではこのような傾向が顕著であり、本会においても新型コロナウイルス蔓延に伴う様々な措置によって、ケイビング活動そのものが停滞し、技術の継承がうまくなされなかった事例もあるようです。アクティビティの低下に関する原因は様々なものがあり、容易に解決できないものも含まれますが、事務局や評議員の皆様と協力し、会の健全な運営に尽力したいと思います。会員の皆様におかれましても、学会大会や企画への参加だけではなく、各種の委員会やその活動により一層関わりを持って、様々な形で盛り上げることにご協力いただけるよう、努力することも重要と考えています。
 2年間どうぞよろしくお願いします。

2024年3月16日