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ケイブレスキューリーダー養成訓練企画書

日本洞窟学会洞窟救助委員会


はじめに
 1997年に洞窟救助に関する国際トレーニングがフランスで行なわれ、 日本からは後藤聡、呉俊一郎の二名が参加した。この際に得た知識を広めるべく、 1997年末より活動をおこなってきたが、 これまでにフランスで得た知識を充分に伝えたとは言い難い状況にある。 その原因としては、これまでにおこなった洞窟救助訓練が、 救助技術の前提となるSRTはもちろんであるが、 横穴探検技術においても不十分な大学2-3回生を対象に含めたものであったため、 洞窟救助技術を教えるというよりは、SRT入門的な部分に時間を取られたり、 逆に、充分な経験を持つものにとっては物足りない状況となってしまった。 しかも、その効果といえばSRTなどの経験が不足している人にとっては、 講義内容について充分な理解が得られないこともあるなど、 洞窟救助に関しての啓蒙以外には充分な成果を上げたとは言い難い。
 また、昨年度より、合併後しばらく停滞していた日本洞窟学会の活動が活発になり、 学会内に洞窟救助委員会が設けられ、 日本洞窟学会の元で洞窟救助組織を作ることができる環境が整い始めている。 今夏には「日本洞窟学会 秋吉台大会 in 1999」という催し物がおこなわれ、 過去、秋吉台で行なわれた同種のイベントの実績から見て、 200名を越える参加者が見込まれるうえ、この大会では、各種シンポジウム、 講習会をメインの活動としたい旨の趣旨が実行委員会から発せられている。 これを受け、洞窟救助委員会では、 この期間中に洞窟救助に関するシンポジウムと講習・デモンストレーションをおこなう予定である。 また、可能であれば、大会期間前後にさらなる講習をおこないたいとも考えている。 これらのことを実行するには、ある一定レベル以上の共通の洞窟救助技術の知識と能力を有した者が、 最低でも数人必要である。しかしながら、現状では、 それだけに人材を揃えることは困難である。よって、この機会に、 それらの人を養成する訓練コースを設けるものである。
 今回の企画では、以前の講習経験を踏まえ効果的な訓練がおこなえるように、 既に充分なSRTの経験を要する社会人、もしくは大学院生(大学5回生以上も含む)を対象におこなう。 人が揃わないからといって、本来、経験あるケイバーや社会人団体、 学会などが担うべきケイブレスキュー活動に、 学部生を巻き込まなければならないような事態は避けたいと考えている。 そして一連の訓連により、洞窟救助の指揮を執り適切なリギングやリギング指示ができ、 洞窟救助技術を広められるようにしたい。 合わせて、まだ理解不十分であった洞窟救助技術についての検証もおこう予定である。  この企画に関して関係各位のご協力とご理解をお願いします。

日本洞窟学会洞窟救助委員 後藤 聡

目的:

日本洞窟学会 秋吉台大会 in 1999において、効果的な講習がおこなえる人材の確保

活動内容:

上記目的を達成するために、各人が以下の能力をもたせるための活動をおこなう

参加条件:

以下の条件を満たしていると自己評価できる人

 上記条件に満たなくとも以下の条件を持つ場合には協力者として随時参加できる。 ただし、実際の訓練には参加できず、見学のみが可能である。見学可能な範囲は、 洞窟の規模・種類と見学者の能力とによって決まる。 また、訓練を効果的に行うために荷運び、食糧の供給、 担架に収容される人などの協力などをしてもらうことがある。


講習日程:

 ケイブレスキューリーダー養成訓練は以下の日程で行う。また「秋吉台大会 in 1999」 において行う講習会などについては、大会開催日程の都合などにより、 開催されるかどうかは現段階では未定である。

ケイブレスキューリーダー養成訓練日程・内容
実施日程開催地予定地主目的予定内容
1999.4.17-18関東近県基礎講習
  • 3ポイントシェアードアンカーなど各種アンカーポイントについて
  • Zリグ、カウンターウェイトホーリング、ロワーリングなど、それぞれについて ノットの通過、チェンジオーバーなどについても
  • 担架の扱い方(水平、垂直での扱い、TSAおよびSKED担架の扱い相違に関すること)
  • チロリアンブリッジ(張り方、チロリアン上の移動など)
  • ディギング(クサビ、コードレスハンマードリルによる岩の破壊)
1999.4.29-5.5秋吉台基礎講習など
  • 日本洞窟学会 秋吉台大会 in 1999」での企画に使用する場所の下見および準備
  • 講習にかかる時間の確認
  • 関東以外の参加者に対する集中的な講習
1999.5.29-30関東近県横穴搬送訓練
  • 横穴での担架を使った搬送訓練
  • 広い空間での搬送
  • 狭い空間での搬送
  • 急な斜面での搬送
  • トレンチなど足場の悪い場所での搬送
  • 小段差の乗り越え
1999.6.19-20関東近県竪穴搬送の基礎に関する講習
  • 竪穴のでの担架を使った搬送訓練
  • 広いピッチヘッドへの引き上げ
  • 狭いピッチヘッドでの引き上げ
1999.7.17-20中部地方竪穴&横穴搬送訓練、講習
  • 総合的な訓練
    洞口から−110m降下し、多少横穴を200mほど移動した地点からの引き上げ訓練

※上覧には触れていないが、各日程内、または期間中の平日夜などを利用し、 マネージメント、サーチなどについても机上講習をおこなう。

一般講習日程
実施日程開催地予定地主目的予定内容
1999.8.5-7秋吉台洞窟救助の基礎に関する講習
  • 3ポイントアンカーなど各種アンカーポイントについて
  • Zリグ、カウンターウェイトホーリング、ロワーリングの基礎
  • 担架の扱い方(水平、垂直での扱い)
  • 横穴での担架を使った搬送訓練
    • 広い空間での搬送
    • 狭い空間での搬送
1999.8.7-9秋吉台「日本洞窟学会 秋吉台大会 in 1999」
  • ミニシンポジウム「世界の洞窟救助の現状。洞窟救助組織の構築に向けて」(仮題)の実施
  • 実技講習
    • 横穴での担架を使った搬送訓練
    • 広い空間での搬送
    • 狭い空間での搬送
    • トレンチなど足場の悪い場所での搬送
    • 小段差の乗り越え
1999.8.10-15秋吉台竪穴&横穴搬送訓練、講習
  • Zリグ、カウンターウェイトホーリング、ロワーリング(ノットの通過、チェンジオーバーなどについても)
  • チロリアンブリッジ(張り方、チロリアン上の移動など)
  • ディギング
  • 横穴での担架を使った搬送訓練
    • 急な斜面での搬送
    • トレンチなど足場の悪い場所での搬送
    • 小段差の乗り越え
  • 竪穴のでの担架を使った搬送訓練
    • 広いピッチヘッドへの引き上げ
    • 狭いピッチヘッドでの引き上げ
  • 総合的な訓練(竪横複合洞穴での訓練)

※上覧には触れていないが、各日程の夜を利用し、マネージメント、 サーチなどについても机上講習をおこなう。
※ 一般講習については、参加者の状況により基礎的なSRTをおこなう必要があった場合には、 後半日程を変更し、横穴搬出に限定しておこなう。


使用装備

 基本的に各個人の持ち寄りによりおこない、 一部の特殊装備は洞窟救助協会などより借り、不足分を購入する予定である。 数量については7月の訓練で行うフルスケールレスキューでの概算である。

主要装備リスト希望数量詳細
TSA Strecher1フランス製の洞窟用担架
SKED Strecher1米国製の野外用担架
脊柱ボード1背骨、首などの負傷時の固定用具
コードレスハンマードリル28mmボルト用ビットも含む
ディギング用クサビ、ドリルビット2直径15-16mm×150mm
ボルトキット10ハンマー、ドライバーなど
大型プーリー5動作荷重4kN、破壊強度30kN以上、ボールベアリング使用のもの
小型プーリー20動作荷重2kN、破壊強度20kN以上のもの
スタティックロープ20本以上直径10mm、長さ20-100mのものを各種。総計700m程度
ロープスリング20本以上長さ2-5m、直径10mm程度のスタティックロープ
アセンダー各種20ハンドル無しのタイプが望ましい
オーバルカラビナ80破壊強度20kN以上のもの
その他カラビナ40破壊強度22kN以上
ハンガー各種608mmボルト用
ディセンダー(STOP)8

費用

 概ね装備購入のための総費用の概算として10万円程度を予定している。 この費用についてはリーダー講習、一般参加者より適当な額を徴収する。

参加希望表明者名簿

氏名所属団体(日本洞窟学会、洞窟救助協会を除く)
後藤 聡江戸川ケイビングクラブ
大久保 秋杏林大学FAC
松丸 敦亀戸ケイビングクラブ
小林 日
斉藤 久亀戸ケイビングクラブ
森住貢一亀戸ケイビングクラブ
安藤和弘亀戸ケイビングクラブ
呉 俊一郎
小池 純江戸川ケイビングクラブ
湊 幸栄
山西敏光パイオニアケイビングクラブ

※現状での参加希望者で確定ではない。


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