菊
池 賢(東京女子医科大学感染症科、本学会会員)
日本洞窟学会の会員の皆さまには、厚生労働省研究班によるヒストプラズマ分布調査につきまして、ご協力いただいているところですが、現在までの進行状況に
ついて、以下簡単にご報告します。ご協力いただきました方々に感謝いたします。なおこの調査は、引き続き本年末まで実施の予定です。皆さま、どうぞ引き続
きご協力をお願いいたします。
(1)
アンケート調査には、現在までに106人の方からご回答を頂きました。17名の方
が入洞後に何らかの呼吸器症状を訴えており、症状のない方と比べると、入洞洞窟数、年間入洞数、経験年数が多いことがわかりました。いくつかの特定の洞窟
で複数の方々が症状を訴えられております。ただ
し現段階では、これらの洞窟と症状との直接の関係は不明です。
(2)
グアノに関して、現在までに25洞窟から得られた62検体を解析致しましたが、ヒストプラスマは1件も検出されて
おりません。しかし新種の真菌Trichosporonが8菌種見つかっています。しかもこの菌はグアノから検出される
カビの中で最も分離頻度が高く、もしかすると入洞後の呼吸器症状はTrichosporon過敏症という可能性がでてき
ました。血清試験により、感作の有無を証明できる可能性があります。