平成15年10月31日

洞窟グアノ採取のお願い

 

 この度は洞窟のグアノサンプル採取に御協力いただき、誠に有り難うございます。「厚生労働省 平成15年度厚生労働科学研究事業 深在性真菌症及び輸入真菌症対策に向けた総合的基盤研究」研究班を代表しまして、厚く御礼申し上げます。

 ヒストプラズマ(Histoplasma capsulatum)は人間に急性、慢性の呼吸器感染症を起こす真菌(かび)です。中南米、北米、東南アジア、アフリカ、オーストラリアなど世界各国で発生がみられ、米国では毎年50万人余りが感染しています。ヒストプラズマはコウモリや鳥類の腸管に生息し、これらの糞で汚染された土壌から検出されます。菌の含まれる土壌などの細かい粒子を吸い込むことにより、感染を起こします。

 日本国内ではこれまでに数十例が報告されています。その多くは海外での感染ですが、一部にどうみても国内で感染したとしか思われないケースが存在します。こうしたケースの感染源は今もって不明ですが、国内でも既にヒストプラズマは定着している可能性があります。

 急性ヒストプラズマ症はcave feverとも呼ばれ、洞窟探検家などが洞窟に入った後、1-4週間して咳、頭痛、発熱、痰、筋肉痛などの風邪様症状で発症します。時に皮膚が赤くなる紅斑を伴います。レントゲン写真では所見がみられない場合も多く、診断は血液検査で行います。健康な方に発症した急性ヒストプラズマ症はほとんどの場合は、特別な治療をしないでも治ってしまいますが、一部に慢性ヒストプラズマ症へ移行し、長期に渡って症状が続くことがあります。このため、国内でも洞窟探検後に引いた「風邪」「インフルエンザ」で見逃されている可能性があります。また、国内には「ない」とされていることから、一般の医師にはほとんど認識されていない疾患であることから、見逃されている可能性も否定できません。

 このような中で我々は、平成15年度厚生労働省特別研究事業でヒストプラズマの国内での感染源を調査する機会を得ました。ここでは全国の洞窟中の土壌特にコウモリグアノ中にヒストプラズマが含まれるかどうか、調査したく存じます。本調査には日本洞窟学会をはじめ、皆様の御協力をいただけることになり誠に有り難く存じます。

 サンプル採取の注意、方法、送付方法などにつきましては同封のプロトコールを御参照ください。

 頂いたサンプルの解析結果につきましては、結果判明次第、お知らせ致します。但し、ヒストプラズマは培養に時間がかかる菌ですので、陰性であった場合の最終的な判定は4週間後になります。恐れ入りますが、結果の御連絡までには1ヶ月程かかることをご了承ください。

 御不明な点がございましたなら、下記連絡先まで、いつでも御連絡ください。

また、私は東京女子医科大学病院で外来診療を行っております。もし、上記のような症状のある方がおられましたなら、いつでも気軽に御相談ください。我々研究班ではいつでもヒストプラズマ症の診断・治療ができる体制を取っております。

 どうか宜しくお願い申し上げます。

 

東京女子医科大学 感染症科

菊池 賢 拝