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日本洞窟学会へようこそ


日本洞窟学会会長あいさつ

 日本には石灰洞窟(鍾乳洞)、 溶岩洞窟、海食洞窟など、様々な種類の洞窟があります。

洞窟学は、これらの洞窟や周辺環境を、地質、地理、生物、古生物、考古、人類、物理、化学、火山洞窟などの専門領域から研究する学問です。また、それらの研究のための調査を安全に行うにあたり、測量、竪穴降下・登攀、救助などを含む洞窟探検技術も欠かせません。

 日本洞窟学会は、これら学際的で幅広い分野の研究や、洞窟に関する教育・啓蒙、洞窟の保全と持続的利用に関する活動を行う会員から構成されています。 日本洞窟学会としての活動では、学術誌「洞窟学雑誌」を年1回、情報誌「ケイビングジャーナル」を年3回出版しています。また年に1度、洞窟学会大会において総会と学術講演会、ケイビング巡検を開催しています。昨年度の大会は3月に鹿児島県知名町(沖永良部島)で行われ、遠隔地の離島、彼岸の時期という悪条件にもかかわらず、多くの参加者があり、口頭講演、ポスターセッション、ケイビング巡検に加え、地元在住の約60人を対象としてケイビングを体験してもらう企画などが行われました。本年度は8月22日〜24日に浜松市での開催が予定されています。

 日本洞窟学会は、洞窟生物の研究者による日本洞窟地下水研究会や地学関係の研究グループが母体となり、1975年に創設されました。1996年には日本洞窟協会や日本ケイビング協会などのケイビング組織と合併し、1999年に日本学術会議へ登録されました。また、世界61ヵ国の洞窟学会・組織による国際洞窟学連合(UIS; The Union Internationale de Speleologie)の一員としても活動しています。こうした経緯から、現在の日本洞窟学会には、洞窟に関係する研究をしている専門家と、洞窟探検を行いながら洞窟学に興味を持つアマチュア研究家、純粋に洞窟探検を楽しむケイバーなど様々な人が会員となっており、研究者とのアマチュアとの距離がとても近い学会でもあります。

  今回、日本洞窟学会設立後33年の歴史の中で、初めてケイビング・探検部門より会長が選出されました。私は20年あまり洞窟探検を趣味として活動してきましたが、その活動の中でSRT(シングル・ロープ・テクニック/一本のロープを用いた竪穴探検技術)や洞窟救助技術、洞窟測量ソフトウェアなどを海外から導入したり、研究・開発したりして、日本各地の洞窟探検家へのケイビング技術の普及を図ってきました。ここ10年ほどは日本洞窟学会洞窟救助委員会委員として 、洞窟救助技術についての講習会を開くなど、その普及に特に力を注いできました。また、UISの行う国際洞窟学会議や様々な洞窟救助関係の国際会議に積極的に参加するなど、国際交流を深めてきています。

 最近、日本国内の洞窟において、死亡を含む数件の重大事故が起きました。統計では、年間1-2件の比較的大規模な事故が発生しています。これまで日本洞窟学会は洞窟救助委員会を通じて会員やケイビング団体への救助技術の普及と「ケイビングジャーナル」誌を通じて安全な洞窟探検の啓蒙を行ってきました。けれども洞窟で事故に巻き込まれる人は日本洞窟学会関係者に限られません。今後はさらに広い範囲の人々への啓蒙や、洞窟を持つ自治体や管轄の警察・消防などの関係機関との協力や情報交換・提供などの働きかけを講じていく必要に迫られていると感じています。

 また、近年、洞窟の事故や事故の恐れ、あるいは洞窟や洞窟生物保護のためなどの理由で洞窟が閉鎖され、入洞困難な洞窟が増えてきています。節度のない、洞窟をひどく痛めつけるような入洞は慎むべきですが、適切な洞口管理がなされないままの入洞禁止措置は、かえって不法な入洞を招き、洞窟の荒廃や、万が一の事故時の対応を困難にします。事前に入洞ルールを決めるなど、節度ある利用と洞窟の保護保全について関係機関と協議・啓蒙していくことが洞窟を美しい姿のまま後世に残すことにつながると共に、事故を防ぐ一助となると考えています。 

 これらのことを実行するためには、会員全員の支援と学会運営への積極的な参加が必要です。私達の学会をより良いものにするためにも、会員諸氏のご協力をお願い致します。

 

日本洞窟学会会長  後藤 聡



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