ラダーを登る。手と足を ラダーの反対側に回すこ とで、安定的に登れる |
ラダーは直径3-4mmのワイヤー2本の間に直径12-15mm、肉厚2mm、幅15cm程度の ジュラルミン製のステップを25-35cm間隔で取り付けたワイヤー梯子のことである。 ワイヤーの両端にはCリンクと呼ばれる連結用の金具が取り付けられており、 ラダー同士を接続できるようになっていて、竪穴の深さに応じて調整できる。 ラダーの長さは10mが標準的で最も多いが、5mや20mといった長さのものも使われている。
ライフラインには直径10-11mmのダイナミックロープ、状況によってはスタティックロープが使われる。
このロープをラダーを昇り降りする人のハーネスに結びつけ、
昇降者がラダーのステップから足を滑らせても落下することがないようにする。
ライフライン用のロープは竪穴上部でビレイデバイスと呼ばれる確保器によってコントロールする。
確保器には様々な種類のものが使用できるが、良く使われるのはエイト環、Petzl社のSTOPなどである。
ボディビレーといって、確保器を使わず体で確保を行う方法もあるが、
竪穴上部の不安定な足場では確実に行いにくいことと、しっかりとしたビレイアンカーがあることを考えれば、
あえてボディビレーをする必然性はなく、行わないほうが良いだろう。
ここで紹介した事柄は、ラダー&ライフラインでの探検を行う上で必要な知識と技術の内の、
ほんの僅かな部分だけである。ラダー&ライフライン技術で必要となるハーネスやセィフティコードなど、
個人の装備についてはまったく説明していないし、ラダーやロープの固定方法も詳しくは記載していない。
したがって、ここで述べられていることは、概要の紹介であって、
ラダー&ライフラインとはどのような技術であるのかを、
おぼろげに理解してもらうためのものであることを忘れてはならない。
ラダー&ライフラインによる探検を行う場合は、
既存のケイビングクラブなどの経験者のグループによる指導を受けるべきだろう。
なお、ライフラインを体に接続する場合には、必ずハーネスを用いること。
ハーネスなしで、腰にもやい結びでロープを直に巻いて代用する事が、過去に行われていたが、
この状態でラダーから体が離れロープにぶら下がった場合、
胸が締め付けられ呼吸困難と血行不良に見舞われ、短時間のうちに意識を失うか死亡するであろう。
上:竪穴上部でラダーを設置している。ラダーは 竪穴に投げ込まず、先端から順繰りに降ろす。 左:不安定な場所でのラダーの設置の際、確保を とる必要がある 右:ピッチヘッドのラダーやロープの設置の様子 |
左 :下方を確認しな がらエイト環で 懸垂下降してい る。 下 :ライフラインを 懸垂下降してい る。下降器より 下側のロープを 持つ手を放して はならない。 |
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左 :狭いクラックを 降りる。狭い場 所は昇降が難し い。 |
下降方法としては、ライフラインを懸垂下降する方法、 別途設置したスタティックロープを懸垂下降し、同時にライフラインによる確保をする方法、 そして、ライフラインによる確保をおこないつつ、ラダーを一歩一歩降りる方法である。 それぞれに特徴があるが、ライフラインによる懸垂下降は経験の少ない初心者では危険かもしれない。 また、ライフラインによって確保する場合はビレイデバイスを操作する人が十分な経験があれば、 初心者でも安全に昇降が可能であるなどである。下の表に代表的な特徴を載せるが、 詳しい特徴や、具体的な手法については書籍や、経験者の指導を受けて学ぶべきであろう。
下降方法 | 下降にかかる時間 | 装備量 | 備考 |
---|---|---|---|
ライフラインロープを使用しての懸垂下降 | 最も早い | 各個人に下降器が必要 | 初心者が懸垂下降に失敗すると危険 |
別に用意したスタティックロープで懸垂下降し、同時にライフラインで確保も行う | リギングに時間が掛かるが、下降し始めれば早い | ロープが倍必要で、各自の確保器も必要と最も多い | ロープが二本になるため絡むことがある |
ライフラインで確保しながら、ラダーを一歩ずつ降りる | ライフラインの上げ下げの時間と一歩一歩降りるため非常に遅い | 最も少ない | ライフラインを上げ下げする手間が掛かる |
左上:セィフティコード の架け替えで登る。 アセンダーによる 追加の確保もとっ ている 上 :ピッチヘッドでの 確保により登る 左 :アセンダー確保で 登ってきた |